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2.9.4 将来のバス事業はバスを走らせるだけで良いのか?
前項では、未来の交通社会を見据え筆者が研究で取り組んできた路線バスの活性化方策をまとめた。ここで皆さんに考えてほしいことは、モータリゼイション等で窮地に陥る日本のバス事業は、「バスを走らせるだけで良いのか」という問いとその答えである。ここではバス営業所のビジネス活用事例、バスをモバイルライフスペースに用いる方法論を述べる。
(1)バス営業所をみんなの居場所にしてマネタイズを図る
現在、30台以上の車輛を保有するバス会社の実に80%が赤字経営に陥っている。これは、モータリゼイションの進行、少子高齢化が大きな要因であった。さらにCovid-19が発生し、ここ3年程でテレワークが普及した。それは、バス会社の経営の根幹である定期券収入を減少させた。こうした社会的背景を受け、全国的に路線バス事業の経営が一層厳しくなっている。一方路線バスの営業所は、利用者の便も考えて地域の比較的目立つ所、集客しやすい場所に設置されることも多い。但し、路線の廃止や休止で運転者他の従業員が減り、運転者休憩室他のスペースが空く例も増えている。上記の社会的構図を総合的に捉え、筆者の研究室ではバスの営業所の空きスペースを有効に活用し、高齢者や独居者をはじめとした地域交流を望む方の居場所に仕立て、運営することを目標にした。筆者らはバスの営業所の空きスペースを地域交流促進に援用可能かを確かめるために、今回紹介する社会実験を行った。
筆者らが所属する東京都市大学は、大手私鉄の東急グループに位置する高等研究教育機関である。そのため本研究では東急バス株式会社と連携した。東急バス株式会社の営業所の中で、団地内に位置する虹が丘営業所(神奈川県川崎市)をフィールドに選定した。虹が丘営業所の2階のスペースを活用して「編み物体験会」、「アロマストーンづくり体験会」、「大人の学び舎(社会人を対象にしたイノヴェイション思考法の勉強会)」、「合唱体験会」、「大学出張出前講義(バリアフリー・ユニヴァーサルデザインを知る編)」、「大学出張出前講義(SDGsを知る編)」、「大学出張出前講義(今後のバス交通を考える編)」、「鉄道模型の展示・運転会」と「バスを知り撮影する会」の9つの企画を2022年11月10日から12月11日の約1カ月で運営した。9つの企画への市民参加を図2-35・図2-36のポスターならびにフライヤーで募った。虹が丘営業所と路線バスがつながる東急田園都市線のあざみ野駅、たまプラーザ駅の構内を中心に、ポスターの掲示、フライヤーの配布等を筆者の研究室メンバーが東急バスと連携して2022年10月の1カ月間で行った。結果的に、編み物教室だけは参加者が不在で不成立となったが、他の企画は成立した。図2-37は大人の学び舎、図2-38は合唱教室、図2-39は大学出前講座、図2-40はバスを知り撮影する会のシーンである(企画の関係者と参加者には本論文への画像掲載の許可を取得).以下参加者への調査の結果につき紹介する。

図2-35 地域交流会のチラシの表面

図2-36 地域交流会のチラシの裏面

図2-37 大人の学び舎の実施シーン

図2-38 合唱教室の様子

図2-39 大学出前講座の様子

図2-40 バスを知り撮影する会の様子
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