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3.1 電動フルフラットバスの挑戦 (以下前回の続き)
・電動フルフラットバスの実証運行と評価調査
筆者を中心とした慶應義塾大学の本研究の従事者は、神奈川県バス協会を通じ、実証運行と走行評価全般への協力を協会事業者の神奈川中央交通株式会社と京浜急行バス株式会社に依頼し快諾を得た。実証評価路線として、筆者は神奈川中央交通株式会社「湘23系統・湘南台駅-慶応大学線」、京浜急行バス株式会社「蒲95系統・蒲田駅-羽田空港線」を選択した。試作後2013年度が初めての実証実験となるため、片道運行時間が長くない15分-25分の2路線を選んだ。上記2路線は、距離は短いものの大学の教職員・大学院生・学部生、空港利用者が多く乗り、評価データも得やすい。2011年12月-2012年1月にかけ計2路線で各1週間、電動低床フルフラットバスを実運行に極めて似た形で運行・評価した。
併せて、実証走行では市民モニターにも試乗してもらい、評価調査を実施した。協力事業者の株式会社三菱総合研究所のWebサイトで公募を実施し、18歳以上の利用者モニターを集めた。その結果湘南台線で219人、蒲田線で161人、合計で380人の有効回答を得た。
なお、試作車は白ナンバー車である為、起・終点では選択した路線の既存の停留所の近くに停車し、途中停留所での停車や乗降を行わなかった。乗車率は、常に研究者分を含む最大20席が埋まる程度にし、試作車の安全管理上の観点から立席での試乗は一切行わなかった。
筆者は、大型電動低床フルフラットバスの試乗時に調査紙を配布して終了時に回収した。設問内容と分析の際の方針等については表3-1にまとめてある。有効回答者計380人の内92%が男性で、年齢は10歳台-70歳台まで幅広く回答が得られた。有効回答者は、10歳台4人、20歳台53人、30歳台91人、40歳台106人、50歳台72人、60歳台38人及び70歳台16人となった。業種については、運輸関連業や電気自動車に関連業務に従事する人が半数を超えた。このモニター募集では、研究期間(実質試作後の2011年度後半の半年)の都合もあり、資金を提供する環境省との合意の下、Webサイトでの公募の結果としてバスやその電動化への関心が高い被験者が多くなった。なお、日頃の路線バスの利用状況が結果に反映されるかも見る観点から、「実証実験対象路線を含めた、日頃の一般的な路線バスの利用頻度と目的」を質問した。従来の路線バスを通勤や通学等で週4-5往復以上利用する回答者が約30%に上り、週1-2往復程度が23%になった。ほとんど利用しない回答者はおよそ20%となった。路線バスを利用する理由は、「通勤または通学」が最多となり「バス以外の公共交通がない場合」、「雨天など天候が悪い時」という回答が約20%ずつになった。
・市民の評価結果について
大型電動低床フルフラットバスの試乗後、既存車輌との比較を前提に、総合的評価を試乗モニターに聞いた。具体的に「本電動バスに試乗しての総合的な印象をご教示下さい。なお、一般の路線バスと比較した場合の評価をご記入下さい」という質問文で尋ねている。筆者は調査のバイアスになることを避ける為、質問紙に回答するまで、電動低床フルフラットバスの解説も行わなかった。総合的評価としては、「とても良い」が13%、「良い」56%、「一般路線バスと同程度」17%であった。一方で「悪い」及び「とても悪い」の回答が合計5%であった(図3-7)。2路線の合計の結果で、概ね7割の試乗者が、大型電動低床フルフラットバスを総合的に高く評価している。図3-8は、2路線の合計の結果を年齢別で分類した結果である。路線バスに求められているバリアフリー・ユニヴァーサルデザイン推進へのニーズや路線バスを通勤・通学に用いる人が多いことを考慮し、年齢層で分析した総合評価結果が図3-9である。各年齢層で、今回の電動低床フルフラットバスへの高い総合的な評価を得られた。ただし70歳台では「一般バスと同程度」が他の世代と比べて目立つ結果となった。
項目別で見た時の評価は図3-9のようになった。「乗り降りのしやすさ」では、「一般路線バスと同程度」と「悪い」、「とても悪い」の合計が50%になっていた、また、具体的に筆者が70歳台の方々へ理由をヒヤリングしたところ、床下部の電池・インヴァーター等が格納されたフレイムが大きくなり、ステップが高く乗りやすさが損なわれてしまった現況が70歳台の「一般バスと同程度」という評価が多くなった主因であると捉えられた。問題自体は現在各社で進められている電池の小型・軽量化が進めば解決出来るが、進展は遅れている。

表3-1 電動低床ノンステップバスの利用者評価調査の概要

図3-7 全モニターの電動バス試乗後の総合評価

図3-8 モニターの試乗後の総合評価(世代別)

図3-9 モニタ-の試乗後の評価(項目別)
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