<毎月第1月曜日更新(祝日の場合は翌営業日更新)>
3.1 電動フルフラットバスの挑戦 (以下前回・前々回の続き)
・項目別に見た市民の評価
各項目について、前記の総合的評価と同様に、「本電動バスに試乗しての(ここに評価項目の種類が入る)の印象をご教示下さい。尚、一般の路線バスと比較した場合の評価をご記入下さい」という質問文で尋ねている(図3-9参照)。
1)電動低床フルフラットバスへの乗降性能
これについては、とりわけ「車内移動のしやすさ」について、電動低床フルフラットバスの評価が高かった。床がフルフラットなために既存車輛と比べ移動しやすいと評価された。
2)電動低床フルフラットバス走行時の乗り心地
「カーブ走行時の安定性」と「走行時の振動・車輌の揺れ」については、「一般路線バスと同じ程度」か「悪い」の評価が60%を超えた。本点は今後の改善項目である。一方、「加/減速時のスムーズさ」と「車内の静かさ」は、「とても良い」及び「良い」の回答が60%を超えた。但し「一般路線バスと同程度」の回答も25%で一層の改善が必要な課題となった。
なお、「シートの座り心地」で進行左列の乗り心地を「悪い」と評価したモニターが43%いる。今回は進行左列と右列で意図的に座席のクッション性を変えた。左側はクッション性が低い欧米で普及するタイプ、右側は日本の車で標準的に用いられる柔らかいものとした。一般に前者が安価であるため、車輌価格低減の可能性を追究する観点から本質問を行った。しかし、結果的に乗り心地で前者は評価が悪く、今の日本型の座席が好まれる事が判った。
3)電動低床フルフラットバスの車輌デザイン
「車内の明るさ」、「車輌の外観(エクステリア)デザイン」、「車内デザイン」では「とても良い」や「良い」が80%を越えて高い評価を得られた。「車内の広さ」も高い評価を得た。
4)電動低床フルフラットバスの環境性能
質問紙では、「本電動バスは電力で走行しているため、従来の路線バスに比べてCO2排出量が削減され、またNOx・Soxの排出もありません。この環境対応の性能をどの程度評価しますか」、「この電動バスは、同サイズの従来の路線バスと比較してエネルギー消費量が1/4程度となっております。この省エネルギー性能についてどの程度評価しますか」という質問を行った(あくまでも上記説明文のみで、具体的な車輌の性能の解説を行う前の記入を指定)。その結果、「二酸化炭素排出量」、「NOx/Soxの排出量」、「エネルギー消費量」などの環境性能については、「とても良い」および「良い」で計90%になり高い評価を得られた。
・市民の目から見た改善を希望する事項・項目
モニターに、電動低床フルフラットバスで改善を望む事項にかんして、希望の順に聞いたところ、「振動や揺れを少なくする」、「席の座り心地を良くする」、「車内の音を減らす」の3項目に希望が集中した。又、数は少なかったが「車内をより広くする」、「バスの乗降時の高さを変える」、「車内移動を更にし易くする」、「加減速をスムーズにする」および「カーブ走行時の安定性を保つ」等の各項目にも改善への意見があり結果的に図3-10の様になった。
特に、今回の電動低床フルフラットバス試作及び実証評価の最大の目的は「フルフラットで乗車も容易なノンステップバスを電動で、エコフレンドリーに行うこと」であった。バス事業が利用者の減少で厳しくなる中でも、バリアフリー・ユニヴァーサルデザイン化およびエコデザイン化は、SDGs時代に確実に求められる。まさしく、それらを同時解決し電動化で自動運転の準備車輛的な開発をしていくことを筆者らは狙った。総合的評価でも述べたが、それでも70歳台の高齢者を中心に、予想以上にバス乗降時の高さを低くすることへのニーズが高いことが判り、フレームを薄くし一層低床化を図ることの重要性を認識出来た。
また筆者らは、路線バスのプロの運転者、バス事業の専門家にも評価をお願いした。運転者については、実際に運転をしてもらい評価調査に回答頂いた。後者については、試乗機会を作り、実際に乗って頂き評価調査への回答をお願いした。利用者である生活者全般、路線バスの運転者、バス事業の専門家、すべての評価を得て、サーヴィスの提供者および享受者の双方の視点を交えて、真のユニヴァーサルデザイン・エコデザインでサステイナブルな車のあり方を追究することにした。以後は運転者と専門家の評価結果を述べることにしたい。

図3-9 モニターの試乗後の評価(項目別)(再掲載)

図3-10 電動低床フルフラットバスの改善項目

図3-11 バス事業の専門家による電動低床フルフラットバスの評価シーン

図3-12 路線バスの運転者による電動低床フルフラットバスの評価シーン
Copyright © Nu-su Publishing Inc. All Rights Reserved.