
〈2、5、8、11月の第2月曜日更新(祝日の場合は翌営業日更新)〉
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不思議な生き残り方をしている作品であり、キャラクターである。世代を超えて愛され続けているルパン、相棒の次元、五右衛門、彼を追う銭形警部、謎の美女峰不二子。国民的な知名度だがサザエさんやドラえもん、ちびまるこちゃんとは違う。アウトサイダーで異国風で、今でもどこかで暮らしているような生命感がある。また、昔のアニメを今見返しても古臭さがない。テンポがよくておしゃれ。新鮮ささえある。
漫画やアニメが始まってから、ルパンの吹き替えをした山田康夫氏を始めとした声優陣や理想の男性はルパンだと公言する女性ファン、アニメ放映の当初は視聴率が伸びず打ち切りになったが、再放送を何度も流し続けたテレビ局。何度も見返しながら大人になっていった人達。それぞれが色々な人生を経験する中でルパンと出会い、触れ合い、楽しんで来た。
実は、原作漫画でルパンはいい人でも優しい人でもなく、悪党として描かれていたが、アニメの視聴率が振わなかったため設定を変更し、人を殺したり傷つけたりはしない、ひょうきんで明るい、人情味あふれる泥棒と変わったという。
主人公が悪漢で、犯罪を犯しながら弱きものを助け、社会矛盾を批判的に描いたり風刺をする作品を「ピカレスクロマン」と呼ぶが『ルパン三世』もその一つなのだろうか。
「ルパンは義賊ではない」と作者モンキー・パンチは言っていた。金持ちから金を盗んで貧乏人に与えるような慈善的なことはしない、人殺しもする悪党であり、大泥棒だと。
それでも自分の思いのままに欲しいものを追い求めるルパン三世の生き方を「いいなあ」と憧れる人は多いだろう。世の中の常識にとらわれず、フーテンのような生活を楽しみ、やってはいけないこと(盗み)を微笑みながらさらってしてしまう。『男はつらいよ』の寅さんが旅先で出会う人々に楽しい思い出を残してまた違う街へ旅するように、ルパンも色々な国の人々と交流し、いろんなものを盗んで行く。
映画作品で好評だった『カリオストロの城』で、銭形警部がヒロインのクラリスに「ヤツはとんでもないものを盗んで行きました。あなたの心です」というのが名セリフとして刻まれている。
だから、『ルパン三世』はずっと心に残り続けている。
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