【連載】

漫画哲学

村田 唯

 

〈2、5、8、11月の第2月曜日更新(祝日の場合は翌営業日更新)〉

 

『人生を考える漫画百選』

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第130回

『死ぬまでバズってろ!!』

 
 「バズる」という表現を最近よく聞くようになった。語源は英語の「buzz」からきており、ハチや機械などがブンブンいう、ざわつく、噂が広がるという意味から、SNSなどネット等で発信した情報が「いいね」を沢山もらったりして多くの人の注目を浴びた時に使われる。
 この漫画の主人公は26歳のフリーター加菜子。「タパ子」という名前で動画を発信している。ある時、フリーアナウンサーのひき逃げ事故を配信したところバズってしまった。その結果フォロワーが激増し、メディアでもとりあげられ、有名人になってしまう。
 もともと心に傷を抱えていたタパ子は、バズったことで舞い上がってしまう。もっと注目を浴びなければ。もっとバズらせてフォロアー数を増やさなければ。と焦って危ない場所に乗り込んだりスキャンダルネタをつかもうと秘密のパーティに参加したりする。 
 しかし、情報や秘密をさらされた方から恨みをかったり、アンチとも対峙しなければならなくなったりしてしまった。危険も伴うということなのだ。
 SNSを通じて、素人でも芸能人のように意見や流行を発信したり、有名人になったりしてしまえる時代。タパ子も、自分の人生に自信がなかったからこそ、注目と称賛を浴びられる世界にどんどんのめりこんで行ってしまう。しかしどんどんバズり続けなければたちまち世間から取り残されてしまう。「バズった」としても一過性のことで、すぐにまた次のネタを探さなければ忘れられてしまう恐怖感と不安感に襲われてしまう。
 今どきの若者は飲みに行かない、恋愛や結婚にもあまり興味がない、車も欲しがらない、出世もしたがらない傾向があるという。半面、個人で発信するSNSでは認められたい、話題になりたいと、承認欲求は強いようだ。
 やはり昔も今も、自分だけ取り残されるのはイヤで、人々から認められ、自信を持って前向きに生きていきたいというのが、変わらぬ欲求であり本能ということか。
 ある程度年齢を重ねれば、静かに自分なりのささやかな幸福を味わうことが大事だと感じるようになるのだが。その境地にたどり着くまでが永い青春期の醍醐味なのだろう。 


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