『学問の英知に学ぶ 第二巻』
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『学問の英知に学ぶ 第二巻』
ロゴスドン編集部 編
定価=5,060円(税込)
2004年12月9日発行
A5判 366頁
ISBN4-902462-01-X
(内容)
真理を追究し、学問の発展のために尽力されてこられた大学教授や名誉教授が、各専門の分野から現代社会の病弊に対する処方箋を提供。日本最高峰の学識が易しい表現で談話調に語られる、学問の英知に満ちた珠玉のインタビュー集の第二巻。
(購入方法)
ホンヤクラブでご購入いただけます。
(目次)
十七章 美と創造の藝術哲学
(美学者・佐々木健一インタビュー)
●美学の領域は、藝術と美と感性的なものにある。
●藝術の線引きは、文化の違いで変わってくる。
●近代において、頭の仕事とは精神的なものであった。
●解消できない価値観の対立こそが、本当の意味での価値の問題である。
●藝術を鑑賞するには、その対象との間に距離を取る必要がある。
●藝術作品にも、歴史的な状況の規定という、表現上のバイアスがかかっている。
●自然美の前では人間がちっぽけなものにみえる、この感覚が重要である。
十八章 分かることの心理哲学
(認知心理学者・佐伯胖インタビュー)
●日本の心理学の悪いところは、未だに関数主義が横行していることである。
●人間の思考に訴える背後の理論を作り直す必要性。
●日本のコンピュータの発達は、機能拡張にすぎない。
●人間の理解は、文化や歴史や活動の状況を抜きにして追求することができない。
●人間は、社会に適応するように進化してきている。
●ハイデガー哲学をベースとした計算機科学の方向転換。
●学習に関しては特に、認知科学を経由していることを常識化すべきである。
十九章 共生への宗教人類哲学
(宗教人類学者・佐々木宏幹インタビュー)
●宗教には作業仮説的な定義は必要だが、弾力的で若干の曖昧さがあってもいい。
●今では、純粋な部族宗教や民族宗教は、世界のどこにもみられない。
●人間がいればどこでも、調査対象となる。
●宗教的なものと呪術的なものは、複合している。
●呪術と科学は、思考体系において類似している。
●精神の安定を実現させることが救いである。
●統合のためのシンボルが神である?
●日本の宗教は、神なら神、人なら人と、固定する哲学ではない。
●自己超越にかかわる宗教と現世利益にかかわる宗教とは、微妙に複合している。
●複眼的、複合的な方法や視座を駆使して病態に迫る!
二十章 地球生存の環境倫理哲学
(環境倫理学者・加藤尚武インタビュー)
●環境倫理学の基本的な三つの理念。
●人口問題は、世界最大のイデオロギー問題になる。
●高度な技術文化と野性的な文化が共存した、新しい文化形態の時代がくる。
●非常に少数のマスコミが、環境ホルモンに注目した。
●環境対策によって、日本は経済成長を成し遂げた。
●環境問題は、最終的には国民の世論にかかっている。
二十一章 言語文化の比較文哲学
(比較文学者・剣持武彦インタビュー)
●日本近代文学は、成り立ちからして比較文学である。
●日本人の魂には、霊肉一元的なものが生きている。
●稲作地帯では、対決をしない、和の思想が好まれた。
●作家の個性と宗教の影響が文学作品に現れる。
●日本語は、感情表現が豊かな言語である。
●言葉とは、その国の魂に近づく道である。
二十二章 性格解明の人格心理哲学
(心理学者・藤永保インタビュー)
●没価値的な仕方で、人間の個性がどこから出るのかを観ようとする学問。
●人間の根源的な五つの特性。
●知能は、人間の思考能力のごく一部にすぎない。
●偏差値信仰の弊害が、今になって一遍に出てきた。
●意見というものは、自分の人生に対する必至の適応の試みである。
●偏見の強い人は、内面的な弱点を持っている。
●寛容な人の理念は、自由でいろいろな組み替えがきく。
●知性と人格との融合、そして情操教育への取り組み。
二十三章 身近な社会の刑法哲学
(法学者・町野朔インタビュー)
●カントの思想が形を変えて復興している?
●犯罪とは、レッテルを貼ることである。
●立法による不都合と、法解釈の問題。
●世界の罪刑は、収れんしてゆく方向に向かっている。
●世論の暴走を認めると、リンチを認めることになる。
●犯罪・刑罰をテコに、あらゆる問題の本質を考える。
二十四章 多様性の生物哲学
(生物学者・岩槻邦男インタビュー)
●生きているとはどういうことかを追跡し、明らかにしてゆく学問。
●今の人類は、新石器時代の始まりとよく似た時代に生きている。
●生物多様性が、二十一世紀の人類の飢えを救う。
●我々は生命系という単位で生きている。
●回復不可能なスピードで、種の絶滅が進んでいる。
●不老長寿だけで、人間は幸せになれるのか?
●自然を征服できるという誤った幻想の恐ろしさを知ることが重要である。
二十五章 人本主義の組織哲学
(経営学者・伊丹敬之インタビュー)
●企業は誰のものなのか?
●権力というものは、どうして正当化されるのか。
●人間には、どのくらいの能力の差があるのか?
●明せきな言語で原理を語れ!
●『場のパラダイム』という日本的経営の新理論。
二十六章 先端科学の情報哲学
(工学者・猪瀬博インタビュー)
●情報技術を発展させた、学問尊重の精神。
●無教養な専門家の増殖が、社会の最大の脅威である。
●過度の競争原理による、不公正な商取引!
●日本社会の根本的な問題は教養教育の稀薄さにある。
●世界の文明を良い方向に成長させる情報技術の役割。
二十七章 市民としての政治哲学
(政治学者・石田雄インタビュー)
●権力によって抑圧されている立場から政治を見直す。
●強者の支配が、今日の政治動向の基本的な流れを規定している。
●誤った期待感が、権力の鉄の三角形を支えていく。
●権力の支持基盤は自ずから痩せ細っていく。
●自分たちで権力に反対し、自分たちで公共的な規制を作っていく。
●逆ドミノで持ち上げる、『社会学的対話』が必要。
二十八章 世紀末の歴史哲学
(歴史学者・阿部謹也インタビュー)
●日本の社会を明らかにするためのドイツ中世史研究。
●日本の問題は、日本人が世間という構造の中にいることによって生じている。
●日本の政府も企業も、個性的な人間を求めてはいない。
●教養とは、いかに生きるかということを自覚して行動することである。
●文学や哲学がカットされるようなものが、本当の大学と言えるのか?
●突き詰めて考えようとしていない日本社会の病根。